企業インタビュー

壁を乗り越えて、次の壁にチャレンジできるんだと感じた時に一番やりがいを感じる

株式会社ビジョナップ

田村 哲也

代表取締役

壁を乗り越えて、次の壁にチャレンジできるんだと感じた時に一番やりがいを感じる

プロローグ

今回ご紹介する方は、世界中でオンリーワンの液晶点滅式トレーニングメガネを製造販売する株式会社ビジョナップの田村哲也さん。40歳で独立し、海外営業の経験を活かしてオンリーワンの商品を生み出したご経験という、これからスポーツビジネスに携わりたいという方にとって非常に興味深いお話しをお伺いしました。

今のお仕事はどのような業務内容でしょうか?

株式会社ビジョナップは世界中でオンリーワンの液晶点滅式トレーニングメガネVisionup(ビジョナップ)の製造販売をしています。小さな会社なので私は全ての業務を行っています。目のトレーニングというこれまでに無かった新しい市場を、自社が持つオンリーワンの商品で創造しています。

今のお仕事をするようになったきっかは何ですか?

40歳で独立して、それまで携わってきた海外営業の経験を活かしてネットで海外ビジネスのサポートサービスをしていました。その頃、ある個人の開発者と石垣尚男教授(愛知工業大学)というスポーツビジョンでは日本の第一人者と言われている先生がいて、この二人がメガネタイプの視覚トレーニング機器が作れないかと模索しながら商品化しようという話になったんです。プロトタイプが出来上がった時にたまたま私に声を掛けてもらえて、手伝ってもらえないかと。

最初は立ち上げのお話だったのですが、結局お二人とも商品化とかビジネスの知識経験が無かったのでそこも私が担当させて頂くことになりました。そしてそのまま販売もやることになりまして、最初は海外向けにHPを作って売り出していきました。そして少しずつ売れていって、これはいけるかなと思い日本向けもやることになりました。最初は色々あったのですが最終的には弊社が総代理店という形で、販売元という立場でやることになったのが経緯です。

商品化する上で大変だったことは何ですか?

このメガネはスポーツグラス風ですけど、電源を入れることができてレンズ部分が点滅します。レンズ部分が液晶パネルで、それを電気的にオンオフさせて見えるところと見えないところを作っています。テレビとかスマホとか、もともと液晶ってガラスなんですよ。ところがガラスでこのようなものを作ると簡単に割れてしまうんです。割れないようにするためにはレンズをできるだけ小さくする必要があるのですが、使う方の立場からするとレンズは大きい方がいいんですよね。さらにガラスなので重いというデメリットもあって。割れなくするためにフレームをガチガチにする必要があったので、フレームもすごく重たくなってしまったり。またガラスなので曲げることができず、カーブしたデザインが作れませんでした。色々問題はあったのですが、何より1番の問題は危ないということ。割れて目に入ったらどうするのかと指摘されました。なんとか割れないものを作れないかと探し続けていたらあったんです。フィルム液晶と言うのですが、ポリカーボネートという素材で、普通のサングラスではよく使われており防弾用品にも使われている非常に強度の高い素材です。そういうフィルム液晶を作っている会社が世界には2社あるということが分かってアプローチしました。ところが1社はスイスの会社で、この大きさは作れないと言われてしまいました。

もう1社は日本の会社で広島にある小さな液晶メーカーでした。そこがなんとメガネサイズの液晶が作れるということだったのですが、この点滅回数を希望通り出せないので最初は断られてしまいました。そこをなんとかということで作ってもらえることになりました。個人と開発者さん(=メーカー)とは、開発・生産費用をこちらで集め、共同開発で商品を完成させました。しかし商品を出荷し始めた途中でメーカーさんが動けない状況になってしまったんです。商品が納品されなくなってしまって、もうこれで終わりだなと、一旦整理しなきゃなと思っていました。ですが石垣先生をはじめ色々な方から、“せっかくここまでやってきたのだからなんとかならないのか。”って後押しをしてもらって。そこでもう一度ダメ元で色々と駆け込み、なんとか資金繰りをし、自社生産に切り替えて今に至ります。

営業活動は積極的に行っているのでしょうか?

今Visionup(ビジョナップ)をもっと日本に広めたいと思っています。でも目を鍛えるという文化がまだ日本にはありません。それが最大の難関で、日本人の方にお話ししても中々ぴんときて頂けない事が圧倒的に多いです。そういった中でも「やっぱり目をなんとかしなきゃいけないんじゃないか」ということを感じ取られている方々が、たまたま弊社のHPを見て頂いたり、たまたま誰かから弊社の商品の事を聞いたりするこことで興味を持って頂いてお問合せを頂いています。そういう場合にはできる限りこちらから出かけて行ってでも説明をさせて頂いて、簡単なことで体感して頂けるのでその場でデモストレーションをさせて頂いたり、そういった営業活動を中心に行っています。

ただそこで「あ、これはいいね。是非使ってみよう。」ということで使っていただくと、ほぼ100%と言っていいほどそこから広がらないんです。というのは、トップにいけばいくほどまわりは全てライバルですから、個人で買っていただくとまずチームメイトがライバル。チームで買うと他のチームがライバル。これ効果あるなってなると、じゃあ他には言わないでおこうということになります。本当に秘密兵器扱いにされてしまうケースも多くて。これもある程度広がりを持つと、「いや実はうちもアレを使っていまして。」ということになっていくのですが、今のところまだそこまではいっていませんね。

顧客はサッカー選手などアスリートが多いのでしょうか?

日本はまだまだこれからですが、むしろ海外(ヨーロッパ)では少しずつサッカー選手にも広がりをもちつつあります。HPにも紹介させて頂いているんですが、スイス代表GKヘッドコーチがうちの販売店になってくれています。前回のW杯の直前のスイスでの合宿のところから代表チームで使ってくれていて、少しずつ報道もされるようにもなりました。このコーチが販売店になってくれたため、現在スイスのブンデスリーガ(1部)は10チーム、ドイツのブンデスリーガは18チームありますが、スイスとドイツのチームの内15チームくらいがGKのトレーニングでうちの商品Visionup(ビジョナップ)を使って頂いています。

今まで弊社自身がスポーツ選手向けということでやってきましたので、どうしてもスポーツ業界が多いです。でもあまり営業活動をしていない割には、最近のデータだと2割くらいがスポーツ以外のところで使用頂いております。健康増進や老化を抑制したいなど、そういった要望が増えてきていますね。あとお子様のスポーツも多いですが、スポーツ以外で学習効果を上げたいというお考えであったり、今の内に視覚機能をあげさせてあげたい、という保護者の方もいらっしゃいます。

これまでに印象に残っていることお仕事は何ですか?

ビジョナップを購入した有名なスポーツ選手からチームメイト用に追加注文を頂いたことです。ライバルである周りには紹介してもらえないことがほとんどなので、とても嬉しかったです。

それと「こんな良いものを作ってくれてありがとう」こういった言葉は本当に響きますね。
当初はボール競技だろう、ということでやり始めてきて逆にお客様の方からこういう競技で使えませんか、ということを色々言って頂いて試していたら効果が出たという。球技以外例えば格闘技系、ボクシング、キックボクシング、フェンシングとか剣道なども。
極端な話かもしれませんが、ベルギーとデンマークの陸上の代表のチームが日本に来たときにこのメガネを買いたいとおっしゃって下さったんです。陸上の何で使うのかなと思い後ほどメールで聞きましたらフォームが良くなったと。これもやはり周りが良く見えていることが影響しているのかなと。この件はこれから検証する必要がありますね。

やりがいを感じる時はどんな時ですか?

会社経営はチャレンジの連続です。創業期の会社は特にそうだと思います。高い壁が次から次へと現れます。その壁を乗り越えて、次の壁にチャレンジできるんだと感じた時に一番やりがいを感じています。

会社概要

株式会社ビジョナップ
目のトレーニングでスポーツ振興と健康長寿に貢献します!
”見るチカラ”のトレーニングメガネ専門店 Visionup Store
http://visionup.jp