プレイヤーインタビュー

特別インタビュー「本田圭佑、アスリートのセカンドキャリアについて語る」 前編

本田 圭佑

サッカー選手/挑戦者

大阪府摂津市出身のプロサッカー選手。リトアニア1部 FKスードゥヴァ・マリヤンポレ所属。

日本人アスリート初のMIT特別研究員に就任。
2018年からはカンボジア代表の事実上の監督も務めている。

アスリートのセカンドキャリアについて、本田圭佑選手に語っていただきました。

今回、新たなサプライズとしてセカンドキャリアをサポートするエージェントサービスを立ち上げられるわけですけれども、その中でアスリートのセカンドキャリアも支援されるとのことです。
ご自身もアスリートとして、現在アスリートが抱えているセカンドキャリアの問題についてどのようにお考えでしょうか?

ま、いっぱいあるわけですけれども 。
スポーツ選手、まあ僕の場合特にサッカー選手と接していて感じるのが、大体スポーツ選手って僕らの世代のほとんどがスパルタ教育を受けてきた、いわゆる厳しめに育てられてきた選手が多いんですね。
その厳しく育てらたことが良い意味でも悪い意味でも、良い意味で言えばサッカー選手として成功した訳なんですけれども、悪い意味で言えばサッカー以外のことに踏み込むみたいなことをなかなかしない。
自信を持って技術を磨いて得たものでは成功したものの、なんか意外に限界を定めているみたいなところがあって、日本代表のサッカー選手の連中でも「俺にはできない。」「それは俺には、圭佑君みたいに出来ひんな。」みたいな、あらかじめ決めつけてるようなコメントが多い。
おそらく、できるのに情報が入ってこないとか、後はセカンドキャリア、ようは引退した後ほんとにお金の面でも、引退した選手がどのようになっていくのか?といった情報もないから、真剣に考えるということにもつながらない。
情報不足というのが確かにものすごく今の段階で問題点かもしれないですね。

Jリーグなどプロスポーツ協会では、選手のセカンドキャリアをサポートするといった機関が設けられているのですが、 現在は選手が登録だけして、年会費を支払うといった行動以外は取らず、受け身の状態がほとんどようです。
ではスポーツ選手が新たな一歩を踏み出すときに必要だと感じられるアイデアはありますか?

うん。1つはそういった情報をしっかり提供できるプラットフォームがあるのが大事ですね。
プロになった選手が、現役のうちに選手(競技)活動を行いながらもそういったことをディスカッションできるような場を提供してあげる、他のオポチュニティ(機会)も示してあげる、情報提供してあげるプラットフォームがあれば、もしかしたら選手たちが偏った情報で不安になることなく、自分たちのセカンドキャリアのことをもう少し冷静にいくつか選択肢の中から、今までチームを選んできたように、住む場所を選んできたように、その要領は一緒なんで、僕の場合はサッカーですけど、ビジネスでも一緒なんで、そういう(数ある情報の中から選べるような)サービスがあればいいのではないかと思っています。
サッカーでは選択肢が多いのに、彼ら(アスリート)はセカンドキャリアでは選択肢がないんです。それが1番の問題だと思っています。

では、セカンドキャリアをサポートできるようなサービスがあったとして、現役のアスリート側では競技活動のようにセカンドキャリアの目標に向かってどのような心構えや準備(例えば積極的にイベントやボランティアなど何かしらの競技外活動に参加するとか)が必要だと考えられますか?

僕はまずスポーツとは違う分野の人にたくさん会うこと。
そこに時間を使うという事はものすごく大事なことだと思います。
スポーツ選手ってほんとに会う人偏ってるんですよ。
時間の使い方がほんとね、うまくないんで。
自分のやっている競技の練習さえ終えたら、結構無駄なことに時間を使っているんで、そういう空いたところの時間で積極的にスポーツとは違う、もしくは自分の競技とは違う畑の分野の人と面会する。これもね、結局情報につながるんですよ。
情報がものすごく大事なんですよ。

ちなみに一概には言えないとは思うんですけれども、本田選手自身が今いちばん刺激を受ける人たちはどんな職業ですか?

難しいなぁ。
興味のあることが多すぎて。。。
じゃー、幅を広めに言っちゃうと、IT系は今最も刺激的な興味のある分野ではありますね。
理由はシンプルで、何かやりたいことがあるってなった時に、僕の場合は大体思いついたやりたい事っていうのは世界規模なんですね。
その壁をなくさせるのって唯一ITなわけですよ。この距離の壁をなくしたITには自分はアナログな人間でデジタルのことについては全然詳しくないんですけれども、凄く猛勉強してるし、すごく楽しい。
ほんとにこう、僕とアフリカが10秒後につながることも唯一可能なアイテム。
僕の場合はそんな感じです。
だからアスリートも自分の興味のある分野というのはおそらくあると思うんですよ。
セカンドキャリア準備ってかたい風に言わずに、エンターテイメントの延長線上ぐらいで自分の趣味につながるものとしてそれが仕事になればいいなぁ。くらい気軽にその分野の人と会う。

では本田選手はアスリートを扱う経営者でもいらっしゃるわけですが、そのアスリートがほかの職種の人たちよりも秀でてる部分というのはどこか感じられますか?

アスリードで成功する人って、よく言われがちなのが才能があると。
(よく言われる)才能っていうのは、”何もやらなくてもわりと先天的にあった能力”のことを言われますがこれは間違ってるんです。
基本的にあまり変わらない。才能っていうのは。
これは僕の哲学なんですけど。

でもアスリートになった人って才能があるんです。
何の才能かっていうと、努力できる才能があるんです。
この努力できる才能は、今のサラリーマンの人たちはもともとスポーツでアスリートを目指してなれなかった人達が大体多くサラリーマンになってるわけですよ。
起業家になったり、実業家になったり。
だいたい部活動してるわけですよ。大社長とかもね。
でもアスリートになれなかった。
もちろん悔しい想いをして今度実業家で努力を続けて成功したケースもあるかもしれん。
もともとアスリートって言うのは、努力できる才能は普通の人より長けてるんです。
ここがセカンドキャリアでものすごく大事になってくる成功の鍵なんで、アスリートで成功して勘違いしなければ、継続して努力はできるはずなんです。 なので謙虚な気持ちさえ持ち続けてやれさえすれば、もともとはこの強い気持ち、根性みたいなものが人よりはあるんで業種が変わっても必ず成功します。
原理原則は、どの業種に行こうと一緒です。

人それぞれ速度は違えど達成する力はあると?

スタートが違うんで、もちろん出遅れます。
引退したら、僕の場合はサッカーなんで30・・30半ばになるかもしれん。違う職種だと25、もしくは職種によって45になって引退する職業もあったりする。
まあ、さまざまですけれど、若干遅れますよね。ノウハウを知るタイミングが遅れるんですけど、サッカーと、アスリートと違って基本的に死ぬまではここ(脳)は成長し続けるんで、努力するって気持ちさえあれば、30くらいから走るスピードが落ちるとかってスポーツ選手の話とは違って、ずっと伸び続けるわけですよ。
だからエンドレスなんで死ぬまで、平均寿命でいうと80くらいまでエンドレスなんで、さっき言ったように最も大事な努力する力・才能っていうものがあれば、まったく違う畑に行っても、先にいろんなその分野の先輩がいても、おそらくそれらを抜くということは簡単でしょうね。

それらは実際に体感されていると?

いや、僕の場合はサラリーマン経験がないんで、ようは雇われ経験がないわけですよ。
唯一雇われ経験があんのは、サッカー選手としてはあります。
なので、そういった意味では給料をもらう感覚は一応はわかってるわけですけど

断言できるのは、

「日々の努力は決して嘘をつかない。」
「その努力に裏切られたことは一度もない。」

唯一裏切られたとしたら自分のこの気の弱さ。

ようは自分の中にある強い部分と弱い部分のこの弱い部分。
これには何度もがっかりさせられてるし、
よく僕は”妥協”と呼ぶんですけど、人間は妥協と一生付き合わないといけない。
でも絶対努力は嘘をつかない。
結果が出なかったら、それは才能のせいではないです。
努力が足りなかったからです。