企業インタビュー

時代に合わせた施術アプローチとは

SPORTS HEALTH BIZ

e-sportsトレーナー/伊藤 弘晶

時代に合わせた施術アプローチとは

プロローグ

 今回紹介するのは、パーソナルトレーナーの伊藤 弘晶さんです。今や世界を席巻しているe-Sportsの発展を早い段階から察知し、プロゲーマーの専属トレーナー等も歴任をしてきた人物。プロゲーマーにかかる眼の負担は想像以上に過度であり、慢性的な眼精疲労に悩まれている方々にとって、伊藤さんはヒーロー的な役割を果たしています。コロナ禍によりデスクワークがより一層に加速する現代において、伊藤さんの活躍は今後も必須になりそうです。

パーソナルトレーナーとしての活動に至るまでは、どのような経緯があったのですか?

 小学2年生から高校生迄の期間はテニスに打込んできました。ずっと個人競技だった事もあってか、団体行動が当時は少し苦手で、、(笑) 将来サラリーマンになる事は絶対にないだろうなと思って学生時代を過ごしていました。そんな折に父親の知人達からの勧めもあって、高校卒業後は鍼灸師コースのある専門学校に進学。テニスの経験からも、人体について多少は興味があったものの、この道に進んだスタートの契機としては、割とザックリとしていた印象ですね。

在学中はどのような心境だったのですか?

 鍼灸師にまつわる国家資格を取得する為に、計3年間を勉学に努めるのですが、最初の1年は授業も忙しく、気が付けば終わっていた印象がありますね。大きなターニングポイントとしては2年次の春。入学当時からアルバイトとして在籍していた整骨院での出来事です。そこの整骨院で、高齢者の坐骨神経痛という臀部の慢性的傷害を改善する施術に携わらせてもらった際に、こちらの思惑とは違って偶然に痛みが治まった事で、患者さんから多大な感謝をされました。私としては、知識も技術も未だ不十分だった中、患者さんに感謝の言葉を”頂いてしまった”事で、非常に申し訳ない気持ちになり、もっと早く成長しなければと一念発起し、学外の様々なセミナーや勉強会にも積極的に参加をする事になりました。

卒業後はイタリアサッカーの名門クラブ「ASローマ」の研修にも行かれたのですね。

 そうですね。専門学校の卒業後は、ひとりひとりの要望にじっくり応えていきたいと言う思いから、それぞれの時間に合わす事のできる個人トレーナーとして活動をしています。そのような個人トレーナーが所属しているコミュニティがあり、そこの中でASローマの研修も募集があったので、思い切って参加をして来ました。日本とは違い、アスリートに対する分業制が進んでいた事が最も衝撃的で、トレーニング面や栄養面等の各分野に責任者がいて、多角的なサポートをしているのだなと、とても大きな学びになりました。

e-Sports界との関わりはどのようなキッカケだったのでしょうか?

 高校生の時にテニスを引退してから、一時的に凄くテレビゲームに熱中した期間がありました。戦国時代系の「信長の野望」や、RPG大作の「ファイナルファンタジー」等ですね。ただ、専門学校に入ると勉強も忙しくなった事で、一切ゲームをしなくなりました。それが26歳になった頃の2017年に、たまたま友人宅で当時最新版のファイナルファンタジーのプレーシーンを見た時、8年超しに見るゲーム映像は、とてつもなく眼が疲れたんですよね(笑) それでもって面白いゲームだと、ついつい長時間プレーしてしまうと姿勢も固まりますし、肩凝りが深刻。当時日本でもプロゲーマーと呼ばれる人達が、少しずつ出て来そうな雰囲気もあったので「プロゲーマー専属のトレーナーも必要だろう」と思い、すぐに関連団体を立ち上げました。

どのようなサポートを行なっているのですか?

 やはり眼精疲労へのアプローチが主ですね。ある参考データによると、現代人が眼に取り入れている光の量は、テレビやPCスマホの原因もあって、ここ100年あまりで300倍にもなっているそうです。施術では凝り固まった眼筋や視神経をほぐしていくような施術を実施しています。もちろん眼のみならず、姿勢や肩凝りを改善する施術も組み合わせる事で、ゲームパフォーマンスの向上や、画面と向き合う時間を延ばす為にお役立てをさせてもらっています。

それはプロゲーマーのみならず、デスクワーカーの人達からの需要もありそうですね。

 はい。実際にここ1年間でコロナ禍の影響もあってか、一般職の方からの施術リクエストも増加しています。仮に1日に8時間PC勤務だとすれば、画面と向き合って作業をする時間はプロゲーマーにも匹敵していますからね。今後は継続して個人向けの施術も行ないながら、法人企業の健康経営にも携わっていきたいと考えています。

最後に、今後の思いを教えてください。

 施術を通じて、日本経済の新陳代謝を図りたいと意気込んでいます。まずは、健康面の理由で離職を余儀なくされる方を軽減したいですね。また、海外だと新たなベンチャー企業がどんどん出てくる印象がありますが、日本における上位企業は長らく顔ぶれが変わっていない印象があります。様々な要因のひとつとして、オフィスの多様性の有無も一理あるのではと感じており、例えば立ちながらPC作業ができるエリアや、スポーツでリフレッシュができるエリア、そして私のような人間が社員の健康改善を図れるような施術エリア等が創造されれば、日本経済も新たな境地が拓けるのではと思います。もちろんまずは地道に一生懸命、目の前の患者さんに全力を尽くしつつ、大きな野望も持ち続けていたいですね。

《文:Next Connect 竹内 一平》2021年4月 執筆

関連情報

伊藤 弘晶 / Hiroaki Ito

1991年 10月12日生/大阪府狭山市出身

関連サイト「SPORTS HEALTH BIZ」:https://esms-shb.com/