プレイヤーインタビュー

セカンドでも輝くために。/二流の生きる道

競泳元日本代表 / 入江 晋平

株式会社Take your marks

セカンドでも輝くために。/二流の生きる道

プロローグ

今回ご紹介するのは、元スイマーの入江晋平さんです。
競泳のバタフライを専門とし、少年時代からジュニアオリンピックをはじめとする全国での優勝を経験。
筑波大学4回生時の2008年には、日本学生選手権(インカレ)を当時の大会記録で制覇。※100mバタフライ:52.40秒
その後は、株式会社コナミスポーツクラブの企業スイマーとして契約。国際大会ユニバーシアードでの金メダル獲得などを果たし、2012年に現役引退。

水泳との出会いは覚えていますか?

4歳の時に実家(大阪天王寺)近くのスイミングスクールの短期教室に行った事が始まりだそうです。さすがに記憶はありませんが、気づいたら泳いでいましたね。専門種目となったバタフライも、気がついたら泳いでいました(笑)。よりにもよって、4泳法の中で最も過酷な種目なのに。その後はイトマンスイミングスクールや部活動での練習を重ね、大学は関西を離れて筑波大学に進学しました。

コナミスポーツクラブでは企業スイマーだったんですね。

はい。大学卒業後、2009年の4月からですね。ありがたいことに、競技に集中できる環境を用意して頂けました。自分自身のベストタイムもその頃。おかげさまで国際大会である2009年のユニバーシアード(セルビア/ベオグラード開催)にも日本代表として選出され、メドレーリレーでの金メダル獲得に貢献をする事ができました。※写真当時
しかしながら、順調だった矢先にセルビアからの帰国後、腰にヘルニアを患ってしまったんです。ベッドから起き上がれない事はもちろん、痛みで目覚める事も多々ありました。もちろん練習量は、痛みと相談しながらになりますよね。ただその翌年は、リハビリも兼ねてJiss (国立スポーツ科学センター)で練習をさせてもらう機会にも恵まれ、色々と日本トップクラスのトレーニングを学ぶキッカケにもなりました。

競技引退は2012年ですね?

はい。ずっとオリンピックへの出場を目指して取り組んできていたので。ロンドン五輪に向けた国内の最終選考会後に、引退を決意しました。引退後、水泳から離れるという選択肢もありましたが、まずはお世話になったKONAMIに恩返しがしたいと思い、スイミングコーチとして残らせて頂きました。はじめの2年間は東京品川にある本店での勤務。それから関西の本店西宮に移り、主に11~12歳のジュニア世代を対象に、選手の育成指導。もともと指導者には興味があり、大学でも教職授業を専攻していました。子供も好きですし、やはり彼らの成長に携われる事は、素晴らしい経験ですよね。幸いにも兵庫県の優秀コーチ賞も頂く事ができました。

そんな中、このたび転職をなさるそうですね?

以前にNext Connect企業インタビューでも取り上げてもらっている「株式会社Take your marks」へ今秋から転籍します。
※少人数制のスイミングレッスンをおこなう会社(代表取締役:野田 健)  https://nextconnect.jp/interview/detail?id=5
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同学年でもある野田社長とは、学生時代から同じ系列のスイミングスクールに在籍をしていた事もあり、面識はありましたし、以前からお誘いは頂いてたんです。
ただ、先述の通り、まずはKONAMIへの恩返しをしたいなと。すると今後は生徒への愛着というか、「この子たちの目標を叶えるまでは面倒を見てあげたいな」と、次第に月日が流れてしまったんですよね。それがようやく一段落した事と、自身の年齢も30代中盤に差し掛かりはじめ、攻めの転職ができるのも今しか無いなと決意しました。

攻めの転職ですか。

私の強い思いとしては「二流の生きる道」というものを、もっと輝かせたいんです。
KONAMI時代の同僚など、オリンピアンとは身近に接してきました。私の中で、五輪に出たかどうかは、水泳界においては大きな差があると感じていますし、五輪まであとコンマ数秒だけ届かなかったスイマーはたくさんいますが、そういった人ならではの指導というのができると思っています。
一定規模のスイミングスクールでは、良くも悪くもマニュアル通りの指導が重んじられる傾向があり、なかなか個性的な指導というのが行ないづらいケースもあるんです。
そんな中、「何の為に水泳をやってきたのか。もっと自分にしかできない指導法があるんじゃないか。」と自問自答するようになりました。
それと、最終的には以前から持っていた野望を、Take your marksで叶えたいと思っています。

どのような野望でしょう?

スイミングコーチを、子供から憧れられる仕事にしたいんです。
日本の子供の習い事ランキングで、水泳は常にトップクラスに習われているスポーツ。
単純に母数は多いはずなのに、「子供が将来なりたい仕事ランキング」では、スイミングコーチが全然上位に入らないんですよね(笑)。理由としては「きつそう」とか、「給料が低そう」など。そういう悪いイメージを一新したい。
実際に私の同級生スイマー達の引退後は、一般の大企業に勤めていたりと、水泳から離れてしまうケースが多々あるんです。せっかく長い間、水泳を頑張ってきたのだから、セカンドキャリアとしても水泳で輝ける環境があればと思う。
その為に、Take your marksで実績を積み重ね、スイミングコーチが輝く基盤を創っていきます。自分が指導した生徒の、水泳スキルが向上することも勿論嬉しいですが、「将来スイミングコーチになりたい!」と夢を持ってくれる子供を輩出する事を、とても楽しみにしながら、これから頑張っていきたいと思います。

《文:Next Connect / 竹内 一平》

企業情報

株式会社Take your marks
関西圏にて少人数制水泳レッスン事業(「swim KENODA」http://kenoda.com/ )を展開。
入江さんのレッスンは丁寧で分かりやすく、大好評。
URL:http://takeyourmarks.co.jp/