濤﨑(トウサキ)アグン大地アシャー
株式会社Nextbook
代表取締役
プロローグ
濤﨑さんは小学生からサッカーを始め、中学生から高校生までサッカーでゴールキーパーとしてプレーしており、小学生のゴールキーパーコーチとしての指導経験もあります。ご自身がコーチになってからゴールキーパーコーチが少ないという事実に気づき、「全てのゴールキーパーが一流の指導を受けられる世界の実現」を目指し、オンライン上のゴールキーパー家庭教師という新しいサービスを始めました。現在のお仕事に対する想いや、今後の展望についてもお話しを伺ってきました。
今のお仕事を始めたきっかけを教えて頂けますでしょうか。
「自分が現役の時にはずっとコーチがいたのですが、自分がコーチになってからゴールキーパーコーチが少ない事に気づいたんです。他のチームの選手を教えに行くこともあったのですが、結局自分が見ることができる数には限りがあります。さらにゴールキーパーコーチは都心に集中していて地方だと特にゴールキーパーコーチが少なく状況はひどいんです。
小学生の時にゴールキーパーの練習を頑張ってもできない、何も教わっていないからうまくいかない。中学生に入ったらYoutubeを見始めるけど、解説がちゃんと付いているものは中々無い。練習メニューを見ても自分に合うものなのか分からないですし。一生懸命練習してもうまくなれないのなら、無駄な努力しているのが嫌だなと思ってしまう。
彼ら全員にコーチを派遣するのは難しいので、教科書があると良い。さらに全国に普及させるなら
ネットを使ったほうが良い。そこで私が同時に数百人に指導できるツールを作ったんです。サッカー以外ならいくらでも似たようなビジネスがあるので、ゴールキーパーでも出来るはずなんです。
でも、もっと根本的な気持ちとしてはサッカーに心残りがあります。高校の時は単純にゴールキーパーが好きでやっていたんですけど、でもいつもレギュラーでは無かったんです。一度だけ公式戦に出られた時があって、でもその試合でミスして負けてしまって。得意なプレーでこぼしてしまったまま勉強にシフトしちゃったんですよね。だから高校生の時に落としたボールを今度は取りたいだけなんです。」
具体的に御社のサービス内容を教えて頂けますか?
「オンライン上のゴールキーパー家庭教師のイメージです。軸が3つあります。」
① オンラインコーチング
スマホで自分がプレーしている様子を動画で送ってもらい、それを見てこっちから個別にアドバイスをします。このサービスによって今まで対面でしか教えることができなかったのが遠い地域に住んでいる人に対しても教えることができるようになります。
② ゴールキーパーの教科書
ゴールキーパーのスキルをレベル別に、理論~練習メニューまで動画教材で解説しており、順番に見ていくと誰でも自然に学習できる内容になっています。例えば、レベル1のスキルAを学んだらスキルBへ、そしてレベル2へといった具合で、実際の教科書のページをめくるように学んでいく事が出来ます。もしこれから初めてゴールキーパーを学ぶという人であれば一番目から見ていけば大丈夫ですが、2年やったことがある人とか、既にコーチから教わったことがある人にとってはどこから学んでよいか分からないですよね。そういった際は上記①のサービスを受けていただくことで解決できます。
③ メニュー検索サービス
youtube上に散乱しているゴールキーパーの動画を検索出来るようにしたサービスです。単純に「何時間もyoutube上で欲しい動画を探す」という手間を無くせるサービスです。
ちなみにゴルフや野球、ロードバイクなどの分野で同じようなサービスを提供している会社はあります。
でもこんなに豊富な動画資料は他に存在しないですね。ゴールキーパーで言うと今は弊社しかやっていないです。
仕事をする上で常に大事にしていることや意識をしていることはありますか?
「お客さんのことを理解することですね。お客さんがほしいものをつくらないと意味が無いし、どんなに良いものを作っても利用してもらわないと意味がない。どんな状況で何考えていて何が問題なのかを詳しく理解する。その上で解決策は自分で考えられるのが理想ですね。
問題を正確に把握できれば解決策は自然と出てくるので。
先日テストで、『期間限定でLINEやTwitterでアドバイスを受けられる』という無料アドバイスサービスを行ったところ、選手から“教えてくれる人がいない、練習しているけどこれでいいのか分からない、この方法でいいのか”という質問が届くのです。彼らがほしいのは彼らの状況を理解してくれる相談相手なんです。彼らは孤独ですよ。だって他のポジションのみんなは誰かに教えてもらえる相談相手がいるし、練習すればうまくなる。でもゴールキーパーは頑張ってもうまくなるとは限らない。なぜなら誰も技術を教えてくれないから。でもミスしたら負けるし、ゴールキーパー責任は重いんです。
一生懸命努力しているのに、チームメイトは理解してくれない。顧問の先生もゴールキーパー出身じゃないと理解してくれない。技術的な指導だけでなく、メンタルな指導含めサポートできる人が周りにいないということを理解することが大事だと感じています。」
やりがいを感じる瞬間はどんな時ですか?
「お客さんに感謝されたり、必要とされているなと感じたりする時ですね。会ったこともないのに“ありがとうございます”と言ってもらえた時とか。動画を何回も送ってもくれる子もいるので、毎回見ていると成長が見られた時はやりがいを感じます。15才の自分にサービスしているような気分になりますよ(笑)ゴールキーパーコーチがいるチームの選手も使ってくれているのが嬉しいです。
チームやスクールの人数が多いと、その子だけに合わせたメニューは組みにくい場合があるんです。毎日ゴールキーパーコーチが来てくれる訳じゃない環境もありますし、スタメンじゃない子とか、彼らは一人で悩むしかないから。そういった子たちが今利用してくれていて、彼らのサポートができるのはとてもやりがいを感じます。」
スポーツ業界で働きたい人やアスリートの人へのアドバイスをお願いいたします。
「やりたいことがあるなら何でも良いから形にしろって言いたいですね(笑)ワードでもパワーポイントで何でも良いので、やりたいことを1枚でも良いから早く作って人に見せてみる。そうするとつまらないとか、こういう方が面白いとか、必ず反応があるから。それを繰り返していくと、多くの人に意見をもらい企画が何枚もにも増えてきますよね。これはスポーツ業界に限った話では無くて、全ての人に当てはまると思うんですが、こまめに人に見せて反応をもらうとやる気が出てくるんですよ。学生が僕に何度も動画を送ってくれて、何度も練習して上達していくのと同じですね。最短で作って最速で見せる、それを意識してほしいですね。
それとスポーツをやっている人はそれぞれ何かしら今のスポーツ界に問題を感じていると思うんですよ。だからそこを自分の手で解決していったら誰かがきっとお金を払ってくれるんじゃないかな。それこそまさにアスリートの人の強みですよね。」
今の目標を教えて頂けますか?
「事業目標の1段階目として、まず僕の指導メソッドでお客さん1000人が目標です。そして2段階目としてプロのメソッドにレベルアップです。現在国内には3万ものサッカーチームが存在し、全てお客さんになる可能性があります。3段階目は英語対応です。必然的に競技人口が増えます。4段階目は他スポーツへ展開です。全ての競技者が一流の指導を受けられる世界を作ります。」
あとがき/企業情報
アスリートとしてプレーした後にコーチとしての経験を積み、そこで感じた問題を解決しようと今のビジネスを立ち上げた濤﨑さん。スポーツをやっている人ならばそれぞれ何かしら今のスポーツ界に問題を感じていると思うので、そこを自分の手で解決していったらきっと誰かがお金を払ってくれる。それこそまさにアスリートの強み、というお話は、セカンドキャリアを考える多くのアスリートの参考になるのではないでしょうか。でも、 “今のお仕事をしているのは高校生の時に落としたボールを今度は取りたいだけ”というお話の中に、セカンドキャリアを歩むアスリートとしての想いを感じられました。
株式会社 Nextbook
「Next」と「Textbook」を合わせた言葉で、次の新しい教科書を作るという意味が込められています。
<公式サイト>
http://gkstextbook.click/
<アスリートとしてのご経歴>
東京都練馬区立開進第二小学校「開2FC」DF
東京都練馬区立開進第二中学校 GK 城北地区選抜
駿台学園高等学校 GK 公式戦出場1試合
高校生フットサルフェスティバル関東制覇(チーム桜台)
以後現在まで東京都練馬区開進第二小学校のコーチ
ビジネスコンテスト「Tokyo Startup Gateway」(濤﨑さんは2016年ファイナリストに選出されました)
http://tokyo-startup.jp/2016/qualifiers
プレゼン動画(2016年11月の内容)
https://www.youtube.com/watch?v=e_pvCcmzlWY
<動画教材 サンプル>
※動画教材の中でも分かりやすい物をご紹介
①パントキック お手本&解説
https://www.youtube.com/watch?v=tKL1loKVsPY
②ハイボール フォーム作り練習その2
https://www.youtube.com/watch?v=U0JOwp5OmtI