企業インタビュー

株式会社エイチ・アイ・エス「知識の深さをうまく使い分けて、その時々に引き出しをあけていく」

株式会社エイチ・アイ・エス

牛谷 達郎

東京スポーツイベントセクション
マネージャー

「知識の深さをうまく使い分けて、その時々に引き出しをあけていく」

プロローグ

日本の大手旅行会社『株式会社エイチ・アイ・エス(以下、H.I.S.)』のスポーツイベントセクションは、マラソン・ゴルフ・ダイビングなどのスポーツ体験や、サッカー・テニス・フィギュアスケートのスポーツ観戦ツアーなど、人気商品を多数取り扱っています。このスポーツイベントセクションで働く牛谷さんに、お仕事の魅力や牛谷さんが現在のお仕事をするに至ったご経歴など、貴重なお話しを伺ってきました。

現在のお仕事内容を教えていただけますか?

 「主な業務は、お客様の航空券やホテルの手配です。そしてスポーツイベントの企画立案ですね。観戦ツアーや体験もの(マラソン、ゴルフ、ダイビングなど)など商品はたくさんあります。私はこの部署を統括するマネージャー職についているのですが、今の部署で働き始めてちょうど10年目に入りました。この部署は、元々日韓ワールドカップに対応する部署が必要だということで2002年に創設されました。ただそれだけでも、ということもあり色々なジャンル(ダイビングやマラソンなど)に特化しているスタッフが集められて立ち上がりました。」

H.I.S.にこの部署があるのを知っていて入社を考えたのですか?

 「スポーツイベントという部署があったのは大きな理由でしたね。就職活動をしていた時にH.I.S.にそういう部署があることを知りました。H.I.S.の最終面接の時もスポーツイベントの部署に行きたいと伝えましたよ。新卒入社して1〜2年間は、店舗で一般のお客様の予約をとって土台を作っていました。そして入社して3年目に公募制を利用して、晴れて希望が叶い今の部署に異動しました。今の部署で働き始めてからちょうど10年ですね。」

スポーツイベントの部署に入りたいと思っていたのは大学の時からでしょうか?

 「大学の就職活動を始めた頃からスポーツの分野に興味があり仕事をしたいと思っていました。サッカーは特に好きです。それと大学4年間、年に1~2回海外に行っていたほど旅行も好きでしたね。だから旅行も好き、スポーツも好きというところから、旅行とスポーツが一緒になって何かできたら良いなと思っていました。」

就職活動で大変だったこと、苦労したことありますか?

 「私が就職活動をしていたのは13年位前の事なのですが、当時はスポーツ業界自体、中々確立されていなかったんですよ。それに今と比べて、何より情報が少なかったですね。
スマートフォンが無かった時代です。どうしたらスポーツ業界で働けるのか、とにかく窓口をたたいて調べることが必要でした。就職活動をしていたのは2005年のことなのですが、サッカーは2002年が終わって2006年に向けてちょうど盛り上がっていた時でした。就職先として、Jリーグも考えていましたね。ただ情報が無い中で、どうやったらなれるのかもわからない、という状況だったことを覚えています。
 またメディア関係(報道、新聞、雑誌)の会社はすごく狭き門で、大手出版社は募集実績に“年間1名採用”とか記載されているのを見たら、さすがに行けないだろうって思ってしまいますし。広告関係の会社を受けるも内定は出ず、気持ちだけでは行けないということも痛感しましたね。」

今のお仕事に必要なスキルや大切なことは何ですか?

 「情報は非常に大切ですね。ただ、単にスポーツが好きなだけではやっていけない仕事です。マニアックなだけでは一般のお客様に通じないんです。
 一方で、例えばガチンコでJリーグのスタッフやサッカー協会の方と接するときには深い知識が必要になってきます。私はFC東京をずっと担当しているのですが、ジュニア育成チームの監督が元選手だったりするので、“○○さんのこと応援していました”という話をすると盛り上がることができるんです。
 でも来店された一般のお客様相手になるとそこまでの知識はいらなくて、あとは旅行としての知識をしっかり持っていれば対応できます。知識の深さをうまく使い分けて、その時々に引き出しをあけていく必要がありますね。」

思い出に残っているお仕事はありますか?

 「今から5〜6年前にスペイン クラシコの試合、レアルマドリードvsバルセロナ観戦ツアーがあり8日間お客様と一緒に現地に行ってきました。このサッカー観戦ツアーですが、実はハネムーンの方が多いんです。ご主人がサッカー好きで、ハネムーンはサッカーを観ることができればOK。奥様はサッカーには興味が無いので観光ができればよい、というお考えの方が多いですね。当時合計80名くらいのお客様と一緒に現地へ行って、すごく仲良くさせて頂いたんです。その中のハネムーンで来ていたご夫婦の方にお話を頂いたのですが、サッカーに興味が無かった奥様が現地のサッカーを観たらすごく面白くて、サッカーに興味をもってくれたそうなのです。それを聞いた時、自分の仕事にすごくやりがいを感じましたね。お客様と近いところで接していて良かったなと。また最近では企業様の団体のお客様と一緒にいけることが多くなって、そこも面白みややりがいを感じているところです。」

あとがき

 自身で企画したスポーツイベントをお客様と現場で体験し、スポーツの楽しさを共有できることは非常に魅力的な仕事だと感じました。また“単にスポーツを好きなだけではやっていけない”という牛谷さんの言葉にもありましたが、常に客観的な視点を持ち“知識の深さをうまく使い分けて、その時々に引き出しを空けていく”ことが、スポーツビジネスをする上で非常に大切なことなのではないでしょうか。

企業情報

H.I.S.スポーツイベントセクションホームページ
http://sports-his.com/

マラソン・ゴルフ・ダイビングなどのスポーツ体験や、サッカー・テニス・フィギュアスケートのスポーツ観戦ツアーなど、人気の企画がたくさん掲載されております。
※現在(取材時2017年5月)、H.I.S.のスポーツイベントセクションは求人を募集しておりません。