企業インタビュー

「逆境を乗り越えた経験が、人の気持ちに寄り添う『コーチング』に繋がっている。」

Re-Departure合同会社

鈴木 颯人

スポーツメンタルコーチ

「逆境を乗り越えた経験が、人の気持ちに寄り添う『コーチング』に繋がっている。」

プロローグ

今回ご紹介する方は、スポーツメンタルコーチの鈴木 颯人さん。アスリート一人一人の人生に関わるお仕事だというスポーツメンタルコーチングとはどういったお仕事なのでしょうか。どういう方がこのお仕事に向いているのか、そして今後の業界の方向性についてもお話を伺ってきました。

メンタルコーチングとはどんなお仕事なのでしょうか?

簡単にお伝えすると、私のスポーツメンタルコーチという仕事は、一人一人のパフォーマンスを下げている思い込みを解いていき、望む結果に相応しい内面を自然と作り出すお手伝いをすることだと思っています。よくメンタルトレーナーとメンタルコーチングの違いと聞かれるのですが、両者には大きな違いがあると思っています。もともと旧ソ連の宇宙開発の際に生まれたのがメンタルトレーニングで、それがスポーツの世界にも転用されたのがキカッケなのに対し、コーチングは英国のオックスフォード大学に受験指導を受けるために雇った個人教師をコーチと呼ぶようになったのが始まりです。メンタルトレーニングが宇宙などの極限の状況下でも普段通りの結果を出すためのツールであれば、コーチングは夢や目標を叶えるために必要な事を二人三脚で行うイメージですね。
 
日本人の方にコーチとはどんな役割ですか?と聞くと殆どが「教える人」と答えます。ただ、実際コーチは「馬車」という意味が正しい答えです。つまり、目標に導く事を目的にするのがコーチングの本来の役割です。そこから、よりスポーツ選手のメンタルに特化したコーチングがスポーツメンタルコーチになります。

メンタルトレーニングとは違い、スポーツメンタルコーチングでは必ずしも答えが1つとは限らない世界です。例えば、「緊張」。メンタルトレーニングの世界であれば緊張を解くために様々な手法が確立されていますが、スポーツメンタルコーチの世界ではその人にしかない答えがあると考えています。例えば、“試合に出て失敗して怒られるのが怖い”、だから緊張してしまう。また別の選手は“もしこの試合で結果を残せなかったら来シーズン契約が無くなってしまうかも”と思っていたりします。だから緊張してしまう、という表面的な部分をどんどん掘り下げていくと、必ずその人を作り上げているパフォーマンスを下げる思い込み=“セルフイメージ”が見えてくるんです。目に見えている部分を対応するだけでなく、そもそもの原因を突き止めてあげることが大事だと思っています。私自身20代でうつ病になった経験があります。その時の経験が今の人の気持ちに寄り添える『コーチング』というスタイルを採用している大きな理由になっています。

この仕事は一人一人の人生に関わります。選手の悪いセルフイメージを作り出してしまった記憶や経験があって、そこまで寄り添ってあげるお仕事なんです。この仕事はその選手の人生に大きく左右するので、その選手が試合で結果を残せるかどうかではなく、どちらかとういうとその人の人生が良くなることを大事にして仕事をしていますね。 なので、恋愛相談ものりますし、家庭内での問題、友達関係などスポーツ以外の話も行っています。そういった環境面が整う過程において選手の結果が必然的に出ると思っています。

実際にアスリートの方と直接会ってお話しているんですか?

基本的にはこの都内にあるオフィスで会うことが多いです。なかには海外にいる選手やここに来れない地方の選手はスカイプなのでお話しすることがあります。イギリスにいる選手も担当していて、時差があるので仕事の 時間は決まっていないですね(笑)長期契約している選手は 20 名くらいで、月に平均 30~40 名ほど対応 しています。1 日に 2~3 名で、1 名あたりだいたい 1 時間~1 時間半くらいです。

一番印象に残っているお仕事は何ですか?

引退間際だったソフトボールの選手がいたのですが、出会ったころは全然打てなかったんです。でも継続的なコーチングをして、それから打率がどんどん上がって、素晴らしい結果を残していきました。そし て今引退が 3 年も伸びているんですよ!気持ち次第によって結果ってこんなにも変わるんだなという事例ですね。その選手はその後もたくさん結果を残して、今度は本人が「メンタルコーチングをやりたい」と言いだしたのには驚きました(笑)。

メンタルコーチングのお仕事は誰でもできるお仕事なのでしょうか?

実は今資格講座もやっていて、既に卒業生もいるんです。元アスリートもアスリートでない人もいます。結論からいうと、何か困難にぶつかって乗り越えた経験がある人がメンタルコーチを志す傾向が強いです。そういった経験があれば本当の意味で選手の気持ちに寄り添えるんだと思います。実際僕も鬱になった経験があって、結構なダメージでした。そういう逆境を乗り越 えた経験があります。自分で考えて行動できる人、アスリートも一緒ですね。こういうお仕事は今後増えてくると思います。

どうして今後こういうお仕事が増えていくと思われているのですか?

1つの大きな理由は東京オリンピックです。2020年に向けてスポーツに注目が集まっていると思います。アスリートの発言の多くからメンタル面について語られる機会が増えました。私が現役の高校生だった頃はまだまだメンタルって言ったらなんか凄く怪しい…そんなイメージしかありませんでしたしね。私だけでなく、多くのメンタル系のお仕事も増えてきていると思っています。

学生時代にやっておいてよかったなと思うことはありますか?また就職活動をしている方にアドバイスをお願いします。

私、高校野球を引退した後に大学の授業を受けながらパイロットを目指していたんです。パイロットという憧れの職業を間近で見るために大手航空会社の機内清掃のアルバイトをしていました。そこで昇進を重ね、アルバイトリーダーという責任あるお仕事を任されました。200 人以上の客席の掃除を少人数かつ短時間で終わらせないといけない仕事で、1日20機も対応するそんなハードな仕事でした。さらに立場上、年上の人たちをまとめなきゃいけない。中には新人の人もいるからその場で教育しながら仕事をして。 そうやって、19〜20 歳そこらの年齢の自分にアルバイトリーダーを任せて、責任をもたせてもらえたのは 大きかったです。本当に良い経験になりました。どんな仕事にも共通することだと思いますが、普通の伝 え方だと中々下の人たちが動いてくれないんです。先輩にもアドバイスをもらいながら、いかに相手のモチベーションを引き出すかということを意識していました。
アドバイスで言うと、いろんな仕事がありますけど“これが僕の道なんだ”と決めつけなくて良いと思 います。今どこか就職をしたとしても、この先どうなるか分からないじゃないですか。リストラもあるかもしれないし、その道に行ったからといって一生を保証されているわけではないんです。私も25歳の時に会社からリストラされて自分の一生を保証してくれる会社はないなと気付きました。だかこそ、メンタルコーチの世界はそのくらいのメンタルを持っていた方が良いと思います。

今の鈴木さんの目標を教えてください。

今年 2017 年に『日本スポーツメンタルコーチ協会』立ち上げました。 “一人のアスリートに一人のメンタルコーチ”を合言葉に、アスリートの結果を生み出し続けるスポーツメンタルコーチを一人でも多く排出していきたいと思っています。

あとがき

選手のセルフイメージを作り出してしまった記憶や経験があって、そこまで寄り添ってあげるお仕事だと いうメンタルコーチング。誰にでもできるお仕事では無く、大きな逆境を乗り越えてきた経験がある人で ないと、それこそ選手一人一人の人生に寄り添うことはできないと思います。だからこそ、結果(選手の変化)が見えた時の喜びは計り知れないものではないかと感じました。今後、鈴木さんが抱く“一人のア スリートに一人のメンタルコーチ”が実現できれば、アスリートのみならずスポーツ業界全体が活性化し ていくのではないのでしょうか。

“そもそもなぜメンタルコーチングのお仕事をするようになったのか?”
こちらの鈴木さんのプロフィールに掲載 されておりますので是非ご覧下さい。
http://re-departure.com/profile.aspx

企業情報

「望む結果を出すアスリート」と「望む結果を出すアスリート」を育成する 「スポーツメンタルコーチ」を増やす
Re-Departure合同会社
代表 鈴木颯人
オフィシャルサイト
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スポーツメンタルコーチ養成講座
http://re-departure.com/10017.aspx

日本スポーツメンタルコーチ協会
http://re-departure.com/associate.aspx